トップページ > 静岡才能人 > いわた用水・事務局長“長島康男さん”
‐消費者も、「安く」「早く」「多く」なんて思ってばかりではダメなんですね。
そうですね。
収穫量や手間ばかりを考え、生産の仕組みが、昔とは大いに違ってきてしまいました。
収穫量を向上させることは、高収入につながると信じられてきたけれど、量を増やすことは、機械化による農作業の効率化や化学農薬の使用をすることとなり、余剰米を作ることになります。そのために、米の値段は下がり、米農家の低迷につながってきたと思います。
農業にとって重要な付加価値を考えずにきてしまいました。量ではなく、質の豊かな農産物を生産する場には、生きものたちはなくてはならない重要な役割を担っていることを忘れてはなりません。
きれいな水には、たくさんの生きものが生息し、そこで生産された安全で美味しい米は、地域のブランドになるはずなんですよね。
‐地域のブランド米ですか ?
きれいな水が美味しくて安全安心な米の条件であれば、そのきれいな水に住む生きものは、シンボルになると思います。
そんな生きものたちが住んでいる農村の空間を調べて、どこを改善すればこんな生きものたちにとって、住み易いところになるのかを調査して、「環境に配慮した農産物の生産」を行えば、こうした生きものが住める所だということを証明できると考えます。
生きものがたくさん住んでいる水のきれいなところで生産された安全な美味しい米は、地域のブランドになるんですよ。
実際にそういう「農法をブランド化」したお米もプロデュースしています。
‐やっぱり美味しいんですか?
そりゃあもう(笑)
まぁ品種ではなく、農法がブランドなので味というより安全で安心して口に出来るということですよね。
でも、実際作る農家の方は本当に大変なんです。昔と同じようにやるということは、梅雨で大雨の時に田植えをしたり、病虫害に対応するのに自然の物で防いだりと手間もかかる。草刈りひとつにしても多様な生きものが生き残るように刈らないとダメ。
手間はかかるし、大量生産はできない。だから農家の方に実践して頂くのもリスクはあります。だから私たちが生きもの調査をしたり袋のデザインや販路を獲得したりして、農家の方、消費者の方を繋ぐ支援をするわけです。勇気ある農家の方とそれを理解する消費者あってできるものですから。
‐最後に今後の展望と子ども達にメッセージをお願いします。
いろいろな意味で、「田んぼのにぎわい」が必要だと思っています。
国民みんなが農に関わることが必要で…。環境保全に対して税金を使うのも立派な関わりになります。だって私たちが生きていく上での大事な資源ですよ。しかも石油や石炭のように枯れることのない資源なのだから大事に育てていかないとなりません。
農地を守るために農家の方々と一緒に努力して、意識改革をして頂いて、消費者の理解も得られるように尽力します。
子ども達には、自然にどんどん触れてほしいですね。家にこもってないで、ゲームとかしてないで、田んぼや川、里山に行って「人間は自然と関わって生きているんだよ、農業も自然の繋がり、自分の繋がりだよ」ということをもっと伝えていきたいと思います。
「農」のつながり、「食」のつながり、「地域」のつながりをキーワードに、これからも地産地消の推進、学校教育との連携、地域資源の利活用、環境保全型農業の推進などに取り組んでいきます。
‐ありがとうございました。
長島さんがとんまえ隊長を務める「いわた用水生きものとんまえマップ」
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