トップページ > 静岡才能人 > おもちゃ病院WELIC・代表“岡田邦生さん”
‐高校生から70代までとは幅広いですね!
会員の多くは、地元企業でモノづくりの仕事をされていた方で、地元の楽器会社、自動車関連会社での開発業務や工場でのモノ作りを担ってこられたOBや現役社員ですね。そして自営業や学生、主婦なども在籍しています。会員の専門性は特に問いませんが、各人の経歴をみると電気関連に携わっている方の比率が高いですね。各人の趣味や特技を生かしていただければいいと思っています。
‐会員の中に主婦と高校生がいるのですね。
主婦は会員の家族の方ですね。一方、高校生は以前、WELICでおもちゃを修理してもらった経験を持つ子です。おもちゃが治ったときの感動を今度は与える側になりたいと、会員になって現在に至っています。
‐ところで、実際にもっとも多い故障原因はなんですか。
実績で一番多いものはプラレールのおもちゃですね。駆動部のギアが割れているケースや電池の液漏れによる電極の腐食が原因の不動作もあります。
その他では、電池の消耗による動作不良も比較的多いですね。これについては電池を新品に交換することで、ほぼ正常に動作します。
‐おもちゃ病院を開院されていて、困ることはなんですか。
修理していて一番困るのが、そのおもちゃがどういう動作をすれば正常なのかが分からないことです。私たちの子供の頃には今のように複雑な動きをするおもちゃはありませんでしたし、扱ったこともないのですから…
‐正直、修理が難しく、困った事例があれば、お話いただけますか。
エピソードとしては、高齢のおばあさんがお子さんからプレゼントされて、とても大事にされている人工知能のぬいぐるみを持ってこられたときでした。そのぬいぐるみは、周囲の明るさや人の声、触覚からいろいろな言葉を発し、こちらの問いかけに答えるというもので、おばあさんが治るまでずっとつきっきりで立ち会われた時は、相当のプレッシャーで緊張しました。
その分、治ったときのおばあさんの喜びように、周囲の人まで一緒に喜びました。そのときの感激は今でも忘れられません。その感激があるから続けられるし、大変でも最後まで治してあげようと思っています。それでも治らないモノがあるのはとても残念ですが…
‐WELICの理念、モットーなどありますか。
今で言う3R(Reduceリデュース:減らす、 Reuseリユース:繰り返し使う、Recycle リサイクル:再資源化)ですよね。
私たちは団塊の世代が多いせいか、終戦後のモノのない時代に育ち、おもちゃは自分で作って楽しむということでやってきましたから、モノを作る、壊れたら治す。そして使うことで、工夫する技術を身につけてきました。
特にリサイクル・リユースという気持ちではなく、ごく自然にそうしてきました。
‐岡田さんにとって“モノを作る、壊れたら治す”は、ごく自然なことなんですね。
はい。それがこのボランティア活動に生かされていると思っています。そのためには余りお金を掛けずに身の回りにあるモノで修理することを心がけています。多少、見栄えが悪いことがあっても、子供にとっては見栄えより先ずは動いて、遊べることが大事です。ただ、私たちの技術はローテクであり、最先端技術ではありませんから、今時のコンピューターゲームなどのようなモノは修理できません。