トップページ > 静岡才能人 > 書道研究 耿栄舎代表・書家“石田不空さん”
‐小さい頃から書道を続けてらっしゃったんですか?
小学校の1年生の時から習っていますが、元々はあまりに落ち着きがなくてウチの母が嘆いてまして…
それで書道でもやらせれば少しはおとなしくなるんじゃないかということで始めたんですね。
そしたら落ち着きはないままで先生には怒られてましたけど、書道自体が面白くてね、賞を取ったりして中学まで続けました。毎月のように朝礼で呼ばれては賞状を受け取っていた記憶があります。
その後エンジニアとして働いている間もスクールに通い、その後個人の先生に師事し、書道展で受賞をすることもできました。今考えれば実力を蓄えた貴重な時期でしたね。
やりたいことを大事にしていて良かった、9年間無駄じゃなかったなと思います。
‐今、子ども達や地元の小中学校との関わりもあるようですね。
たまたま母校の校長先生から声を掛けて頂いて、学校のスローガンをみんなで書いたり、書道の授業をしたり、学校目標の揮毫を頼まれたりしています。
そんな中で、「自分の夢を一文字で書こう」と持ちかけたときに、ある出逢いがあったんです。
僕はみんなに例えば野球選手になりたいなら「投」とか「打」とか花屋さんになりたいなら「華」とかね、そんな風に筆で書くように言いまして。その中で「命」と書いた子がいたんですよ。
‐夢が「命」ですか。
当時、お笑い芸人のネタでも流行っていたので、ふざけてるのかなと思ったんですが、「医者になって命を救いたい」と言うものですから、「それならはみ出すくらい力いっぱい紙いっぱいに書け」と指導したんですよね。
その数ヶ月後、その子が病気で亡くなったことを聞かされました。命そのものが夢だったということがわかり、そのあまりにも短くて儚い生涯と彼の気持ちを考えました。私も改めて思いをはせて「いのち」と書きました。そのことをまた伝えてほしいということで中学校で「いのちの授業」をおこなったこともありました。
‐書を通して色々な出来事が生まれたんですね。今後の展望はありますか?
ここまでやってきて欲をかくとうまく行かないということがわかりました(笑)。自分がやるべきこと、今いる生徒さんに教えること、作品づくりをこれからも真面目にコツコツとやっていくのみですね。毎日確実に寿命が減ってるわけですから、命を捧げているという思いで活動していきたいですね。
‐最後に、年賀状や書き初めの時期なのですが、アドバイスを頂けますか?
アドバイスって?難しいな。心構えみたいなことですかね。 まず、下手でも良いんですよ。年賀状で言うなら、パソコンより自分の文字で書いてあるともらう方には伝わりますよね。たとえパソコンの年賀状でもそこに一言、肉筆が添えてあると嬉しいものです。下手でもいい、鉛筆でもボールペンでもいいんですよ。 ただそのときに人に読んでもらおうという「思いやり」が大事ですよね。読みづらいくせのある字や乱暴な字では、読んでもらう人に対する配慮が足りないということになります。読みやすいように丁寧に、その人のために心を込めて書くことが一番大事だと思います。
‐はい、心がけます。素敵なお話をありがとうございました。
石田さんのサイトで作品をご覧頂けます。
毎年恒例の沼津御用邸の個展は2011年4月29日~5月4日に開催されます。
書家 石田不空
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書道家 石田不空のブログ
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