‐現在、音楽活動をされていて、最初の頃とは変わったと思うことはありますか。
中学2年でフォークギター始めて、20代前半はバンドをやっていたのですが、バンドはメンバーの事情で自然解散。ギターを弾かなくなってしまった時期もしばらく続きました。
音楽をやる余裕もないような時期もあり、もうバンドでステージに立つ事もないだろうな、と諦めかけた時に“押尾コータロー”というギタリストの存在を知ったのです。彼のようにギター1本で音楽を表現したい、と思って37歳で再びアコースティックギターに逆戻り。最初に戻ったって感じですね。
‐原点に帰ったということですね。BINさんにとって、音楽の楽しさって何ですか?
今、自分が演奏しているギターに関しては、クラッシック、ポップス、映画音楽、アニメソング、ゲーム音楽…と同一線上で表現出来る面白みがありますね。
まァ、今はどれも中途半端なんですけど…。(笑)
音楽そのものの楽しさは、やっぱり音楽って心を豊かにしてくれるものだと思いますね。
演奏活動もずっとやっていると疲れてしまう時もある訳ですが、結局、疲れた時も音楽を聴いて癒してますし。
‐生活の一部というよりは、欠かせないものということでしょうか。
そもそも、今みたいなギターを弾くきっかけは、お恥ずかしい話しですが、離婚して家庭を失い、精神的なダメージを受けてしまった事にあります。
自分が立っている地面が不安定な感覚といいますか、「自分は必要のない人間なのでは?」と、仕事においても自信も気力も無くしてしまい、仕事に就けない状態になってしまった時期があります。
家に引き蘢るようにまでなってしまい、何もする事がないから、ギターを弾くわけですよ。弾き籠りですね。(笑)
‐そういう時は、どんな曲を弾いていたのですか。
押尾コータローさんが好きで、押尾さんの曲をひたすら練習してました。今思うと、かなり貪欲なまでに弾いてましたね。暇にまかせて、楽譜にない曲はCDを聴きながら採譜してみたり。やがて、ある程度弾けるようになると、誰かに聴いてもらいたいという欲が出てきて、演奏させてもらえる喫茶店をインターネットで見つけて、勇気をふりしぼって演奏させてもらったんです。最初の演奏は緊張して、ガチガチになってしまった事をよく憶えています。
‐最初に演奏したときのお客様の反響はどうでしたか?
そこのお店のお客さんは温かい人が多くて、「よかったよ」って言ってくれて。続けているうちに、「一緒にライブやらない?」と声をかけてくれる人もいたり、徐々にですが、自信を取り戻していった気がします。お陰様で、今はちゃんと仕事にも就いてますよ。(笑)
‐ギターを弾くことで、自分を取り戻すことができたのですね。
仕事もせずにギターばかり弾いて、現実逃避のようですが、今思うと知らず知らずに自分で音楽療法を使ってケアしてたのかもしれませんね。音楽には不思議な力が秘められていると思います。音楽を通じての出会いも、増えましたねぇ。こんな自分でも人から必要とされている。それが何より嬉しいですね。ですから、音楽なしの生活は僕には考えられません。